「經典再現―臺府展現存作品特展」@国立台湾美術館
2020年11月28日~2021年4月11まで台中市の国立台湾美術館で
開催されていた「經典再現―臺府展現存作品特展」へ行きました。
会期中、2回足を運びましたが、時間が許せばもっと行きたかった。
日本時代の台湾総督府文教局下の台湾教育会主催で
1927年から1936年まで10回行われた「台湾美術展覧会(台展)」と
その後、台湾総督府主催で1938年から1943年に6回行われた
「台湾総督府美術展覧会(府展)」。
国立台湾美術館は時間と共に姿を消してしまった
これら展覧会の目録の復刻計画と、
出展作品の現存状況の調査を実施したそうです。
台湾近代美術史の貴重な作品を観ることができました。
※去年、台北市の北師美術館で観た「不朽的青春―台灣美術再發現」もよかった。
台展と府展は「東洋画」部門と「西洋画」部門がありました。
戦後「府展」は「台湾省全省美術展覧会(省展)」と名前を変えて1946年から開催。
当初は「国画」、「西洋画」、「彫塑」の3部門で
それまでの「東洋画」は「国画」として扱われました。
その後、国民党政府が「東洋画」=「日本画」であり、
「国画」部門にはふさわしくないとし、
「国画」部門を第一部門(水墨画)と第二部門(東洋画)に分けて、
審査も別に行うようになります。
1972年、日本と中華民国の国交断絶を受けて
突然第二部門(東洋画)は取り消されます。
そこで、日本的なイメージのある「東洋画」に代わって
「膠彩畫」という名称を提唱したのが台中出身の画家、林之助です。
1982年、第二部門は「膠彩畫」部門と名称を変えて復活します。
と、以前訪れた台中市西区にある「林之助記念館」で紹介されていました。
省展は2006年を最後に終了、現在はその後を
「全国美術展」と「台湾ビエンナーレ」が受け継いでいます。
で、今回の「經典再現―臺府展現存作品特展」。
すごいなあと思ったのは郭雪湖。
中元節の大稻埕を描いた「南街殷賑」が有名ですよね。
こちらが第5回台展東洋画部門で台展賞を受賞した「新霽(芝山岩)」。
こちらが第7回台展東洋画部門で入賞した「寂境」。
ともかく圧倒されて見入ってしまう。同じ人が描いたとは思えない。
(素人なのでこんな感想です)
あとはこちら。
蔡雲嚴の「我的日子―男孩節」(第6回府展東洋画部門入選)と、
陳碧女の「望山」(第6回府展西洋画部門入選)。
見えにくいですが、両方とも日本の国旗が
国民党の青天白日滿地紅旗に描き替えられています。
最後の第6回府展が開催されたのは1943年。
政府主催の展覧会では、やはりその時代に合った要素を
盛り込まなければならなかったのでしょうか。
さらにまた時代が激しく変化する中で、描き上げた作品に
自ら手を入れなければならなかったということですよね。
あとは、陳澄波の作品は個人収蔵のものが多かったように思いました。
去年オープンした嘉義市立美術館も行きたいなあ。
国立台湾美術館は、いつも気になる展覧会をやっている。
しかも無料で素晴らしい。ありがたい。
また行かなければ。